混世魔王

故郷の水簾洞を離れた悟空は、ようやく巡り会った須菩提祖師から仙術を学び、一躍十万八千里(約40万キロ)をひとっ飛びする觔斗雲の術をはじめとする地殺七十二変化の術を修得し、須菩提にわかれを告げて故郷に戻ります。

戻ってみると、仲間の猿たちの数が減っており、水簾洞は荒れ果てておりました。
何故こんなことになったのかと聞くと、

「北の方から混世魔王という妖怪がやってきて、
子猿たちをさらっていくのだ」

とのことです。
悟空はかんかんに怒り、早速混世魔王のところに行き、魔王を頭からまっぷたつにしました。
魔王に捕らえられていた小猿たちを救出し、大勝利で凱旋しました。

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中国語の  とは、ただ混じるという意味だけではなく、

誤魔化す  (混蛋 / ふんたん)


曖昧にする (混帳 / ふんつぁん)


という意味があります。

混世魔王 とは、曖昧にごまかして生きる、いいかげんにやって、けじめのない悪魔です。
仕事、勉強、休み、遊びの区別なく、ただ、ダラダラと毎日を過すことを言います。

なぜこの悪魔が北から来たのかといいますと、これにも深い意味があります。北には玄武という守り神がおり、十二支では子(ね)の方角です。

八卦や五行に関しては、もう少し後で老君が登場したら詳しく書くことにしますが、北という方角は、北極星のある方角で、もと始りの方角です。
実際に、混世魔王は北にある険しく高い山に住んでいました。

     遊手好閑
     虚度光陰
     一事無成

(遊手好閑 / 暇を好んでブラブラして何もしない)
(虚度光陰 / 空しく、なにもしないまま月日が過ぎる)
(一事無成 / 一事のことも成さず、一生のあいだに、結局なにもしなかった)

これが、恐怖の混世魔王です。
怖いですねぇ~。

そして、混世魔王は、子猿達をさらって行くのです。

わたしには、とても身に覚えのある出来事です。
親のこうした態度は、子供達のこころを真っ先に蝕んで、子供達は放蕩で家を空けるようになります。

仏門に入り、仏の道を歩みたいのなら、この 「混」 を斬って捨てろと西遊記は書いております。
そして、それが第一歩となると教えてくれます。

ものごと、基盤の第一だということです。
また、子供を持つ親にとって、この悪魔・妖怪は、あなたの子供に対して影響し、あなたの子供達をさらって行くよと教えてくれます。

悟空のように、混世魔王を頭から叩き斬り、まっぷたつにしてしまわなくてはなりません。
悟空は修行を積んで空を悟っていますから、混世魔王など相手ではありません。
ごまかしや怠慢など、すぐに見破り、多少は手こずりますが、一刀両断です。

 さも仕事をして忙しそうなフリをして誤魔化し、まともなことをしているようなポーズを取ってダラダラと経営し、結局まともな結果を出さないまま日々の業務だけをこなしているようでは、弟子、部下、顧客、取引先、子供達は、皆どこかへ行ってしまうだろうと云う道理について、読みとることができます。

西遊記の、このセンテンスについて
いろんな解釈ができると思いますが、このような解釈もできると思います。

2006年7月2日(日)
合掌

野崎明美・九拝
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by polestar01 | 2006-07-02 17:24 | 登場人物
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